冬になるともこもこのセーターは欠かせませんよね。でもセーターは洗濯機で洗うと縮んでしまうし、かといってクリーニングに出すとお金がかかるしで、お手入れが大変…。どうして家で洗濯すると、買って来たセーターは縮んでしまうんでしょうか?
実はセーターが縮む一番の原因は、セーターを作っている毛糸そのものに原因があります。
毛糸は人間の髪のようにたんぱく質でできており、その表面はうろこ状になっています。乾燥しているときにはうろこは閉じていますが、水に濡れているときにはそのうろこが開いた状態になります。
水に濡れてうろこが開いた状態のときに、洗濯機のように回転やもみ洗いをしてしまうと、その開いたうろこ同士が複雑に絡みあい、フェルトのような形状になってしまい、縮んでしまうという訳です。
つまり、水に濡れた状態での回転や揉みの摩擦に弱いため、セーターにとって洗濯機は縮む原因以外の何者でもないのです。
では家で洗濯できないかといえばそうではなく、手洗いなら可能です。水に漬けているとうろこが開いてしまうので、できるだけ水に漬かる時間を短くし、揉み洗いではなく手で押し洗いをすると良いでしょう。
もしどうしても洗濯機で洗いたいという場合には、他の衣類と一緒にせず、一着のみを大目の水量で短時間洗濯することをお勧めします。ただし、やはり回転による摩擦は避けられないので、一番は手洗いをすることです。
ところで手編みをする人は、手編みのセーターよりも買ってきた既製品のセーターの方が縮みやすいと感じるのではないでしょうか?実はこれは本当で、既製品のセーターが縮みやすいことにも訳があります。
毛糸のセーターは毛糸の性質上、毛糸一本一本が縮れており、その縮れゆえに、着ているとその縮れが伸びて形状がヨレてしまうことがあります。
既製品のセーターはそのヨレを防ぐために、出荷前にスチームアイロンを当てることにより縮れを最大限まで伸ばして、セーターの毛糸を伸ばした状態で出荷しています。
このため、優しく手洗いをしても毛糸は元の形に戻り縮れようとするため、既製品のセーターを洗うと多かれ少なかれ、必ず縮んでしまうのです。
ちなみに縮んでしまったセーターは、少しの縮みであれば、既製品セーターの出荷と同様の手段によって、伸ばすことができます。
方法は、伸ばしたい方向にセーターをひっぱりながら、スチームアイロンを浮かせてかけるだけです。これだけで、ほんの少しの縮みであれば解消することができます。
アイロンを使わないもう一つの方法としてはトリートメントを使う方法です。
トリートメントに含まれるアモジメチコンは髪のキューティクルをコーティングする役割がありますが、毛糸も同じようにキューティクル状のうろこをコーティングすることにより、毛糸同士の絡まりによる縮れを軽減することができます。
使用方法は、アモジメチコンが含まれるトリートメント15gと水を洗面器に入れて、セーターを30分ほど漬けおき、脱水した後に干すだけです。
トリートメントを使う方法は、アイロンを使うよりも優しい方法ですが、セーターにトリートメントがついた状態で着用することになるので注意が必要です。
気を抜くと硬く縮んで着れない状態になるセーターですが、これらの自宅でのケア方法を身につけて、うまく自宅洗濯したいですね。