冬の厳しい寒さにあったか~い味方。そう、毛糸です。もこもこのセーターやマフラーに手袋。とにかく暖かいですよね。今回はどうして毛糸が暖かいのかをお伝えします。
アンゴラやウール、カシミヤなど毛糸の種類に関わらず、毛糸は縮れており、その表面にはうろこ状の構造を持っています。この構造そのものが、実は毛糸が暖かい秘密なのです。
毛糸が暖かい理由には大きく分けて、断熱効果があることと、吸湿発熱する性質という2点が挙げられます。この2点は、縮れと表面のうろこによって生まれているのです。
断熱効果がある理由からみていきましょう。
毛糸の縮れをクリンプといいますが、この縮れた構造は空気を大きく抱え込んで含むことができます。また、毛糸の繊維自体にも、空気が含まれています。
毛糸は細い繊維が一本一本が縮れているのをよりあわせてできた糸で、複雑にからみあっているために、繊維そのものに含まれる空気、絡み合った空間に含まれる空気と合わせて、たくさんの空気を含むことができます。
空気は動かなければ高い断熱効果が望めるため、空気をたくさん含んで動かない毛糸は断熱効果が高いのです。このためにセーターやマフラーを着用すると、空気の断熱膜を身にまとうことになり、冷たい外気を遮断して暖かさを保つことができるのです。
次に、吸湿発熱する理由です。
毛糸は表面にうろこ状の構造があり、このうろこをスケールといいます。スケールは毛糸の表面に毛羽立った状態になっていますが、この毛羽立った部分に、水分を抱き込むことができます。
水が含まれると冷たいのでは?という気がしますよね。なぜ、吸湿発熱するのかという原理を説明しましょう。
気化熱という言葉は小学校の理科でも習いますから聞いたことがあるのではないでしょうか。これは水が液体から気体に変化するときに、水の熱を奪って蒸発するというものです。
例えば濡れたハンカチを振るとヒンヤリ冷たく感じますが、これは気化熱で濡れたハンカチが冷えているのです。
この気化熱の逆が、凝縮熱です。これは、気体が液体になり凝縮する時に、熱が発生するというものです。
吸湿発熱というのは、汗などが蒸発してでた湿気を、スケールが抱き込んで液体化して、凝縮熱によって暖かくなるのです。
凝縮熱は液体化したときに出る熱なので、スケールに水が含みきってしまうと発生しなくなりますが、乾燥すればまた発熱します。
このように、毛糸はスケールが吸湿することによって凝縮熱を生み、クリンプが抱え込む空気の層によって断熱することにより、暖かさを保っているのです。
スケールの形状によって毛糸独特のチクチクが発生したりしますが、毛糸の暖かさの理由を知ればチクチクも我慢できる?かもしれませんね。